AN155 - マイクロコントローラを使用したMP2759の充電電流の調整

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概要

性能を微調整するために、多くのバッテリー駆動機器は異なる動作モードでリアルタイムに充電電流を調整しなければならなりません。例えば、多くのバッテリー製造業者は、バッテリーの安全性を保証するために異なる温度で特定の充電電流レベルが必要です。MP2759は充電電流を調整するためにJEITAを持っており、マイクロコントローラ (MCU) がユーザー設定を強化します。

MP2759は、ISETピンとAGND間に接続された抵抗 (RISET) によって充電電流を調整することができます。このアプリケーションノートでは、充電電流調整に基づいて、MP2759の充電電流をMCUでリアルタイムに調整する方法について詳しく説明します。このアプリケーションノートでは、MP2759について説明し、RISETと充電電流の関係について取り上げます。次に、充電電流のリアルタイム調整のための設計ガイドを推奨し、最後に設計例を示します。

はじめに

MP2759は、1セル~6セルの直列リチウムイオンまたはリチウムポリマーバッテリパックを備えたアプリケーション向けに設計された高度に機能集積されたスイッチングチャージャです。これは、 異なるバッテリー調整電圧を持ついくつかの電池化学的性質に対応しています。充電電流は、ISETピンとAGNDの間に対応する抵抗 (RISET) を接続することで調整できます。RISETと充電電流の関係は、式 (1) により求めることができます。

$$ I_{\text{CHG}} = \frac{96\,(\text{k}\Omega)}{R_{\text{ISET}}\,(\text{k}\Omega)} $$

充電電流はRISETで調整できますが、 この方法はリアルタイムの調整では信頼性があまりありません。MCUのPWMを使用することで、充電電流をリアルタイムで より高い信頼性で調整できます。MP2759の標準回路図を図1に示します。

図1: MP2759アプリケーションの回路図

方法の詳細

MP2759は、ISETピンで読み取る抵抗値を変えることで充電電流を安定化します。ISET端子は1.2Vの一定電圧を維持しており、ISET端子とAGND間の等価抵抗を変更することで充電電流を調整できます。この変更は、MCUのPWMデューティサイクルを変更することで開始できます。

図2: ISETピンの等価回路

方法の概要

図3に、等価抵抗をMP2759のISETピンに接続した場合の設計方法を示します。

図3: 等価抵抗設計回路

PWM信号には制御可能なデューティサイクルがあります。この信号はMCUによって生成されます。RCフィルタ (R2、R3、およびCISETで構成される) は、PWM信号をDC信号にフィルタします。

$$ R_{\text{EQ}} = \frac{1.2 R_1 G_{123}}{1.2 G_{123} - \left( \frac{\text{DUTY} \cdot V_{M\_PWM}}{R_2} + \frac{1.2}{R_1} \right)} $$

ここで、DUTYはPWMデューティサイクル、VM_PWMはPWM振幅 (MCU電源電圧と同じ、約3.3V) です。G123は 式 (3) で推定できます。

$$ G_{123} = \frac{1}{R_1} + \frac{1}{R_2} + \frac{1}{R_3} $$

式1、2、3では、REQは 0Ωを超えなければならなりません。REQが0Ωを下回ると、ICHG = 0Aになります。表1にPWM入力に基づく充電電流を示します。

表1: 充電電流 vs. PWM入力

PWM入力 PWMデューティ 充電電流
GND 0% 最大充電電流
ロジックハイ 100% 0A
PWMデューティサイクル 0%~MAX_DUTY (1) 充電電流を直線的に調整
フロート 該当なし 96 (kΩ) / R1+R3

注:

1) MAX_DUTYは、充電電流が0Aに低下したときの最大PWMデューティです。約80%にすることが推奨されます。

パラメータ関連設計ガイド

上記の分析に基づいて、パラメータ (R1、R2、R3、CISET) は次のガイドラインで設計できます。

  • 最大充電電流に対応する等価抵抗はRMAX_ICHG、であり、式 (4) で計算できます。
  • $$ R_{\text{MAX_ICHG}} = R_1 + R_2 \parallel R_3 $$
  • 式 (5) で推定される適切なR1を選択します。
  • $$ R_1 = 0.5 \cdot R_{\text{MAX_ICHG}} $$
  • 方程式を解き、式(6)でR2とR3を計算します。
  • $$ \left\{ \begin{array}{l} R_2 \parallel R_3 = R_{\text{MAX_ICHG}} - R_1 \\ \displaystyle \frac{\text{MAX_DUTY} \cdot V_{M\_PWM} - 1.2}{R_2} = \frac{1.2}{R_3} \end{array} \right. $$
  • 適切なCISETを選択して、PWM信号をDC信号にフィルタリングし、式 (7) で推定します。
  • $$ \frac{1}{2\pi (R_2 \parallel R_3) C_{\text{ISET}}} \ll f_{\text{PWM}} $$

    ここで、fPWMはPWM周波数です。

    設計例

    このセクションでは、MAX_ICHG = 2.7A、MAX_DUTY = 80%、VM_PWM= 3.3V、および、fPWM= 2kHzの場合に、充電電流をリアルタイムで調整するパラメータを適切に設計する方法を示します。

    設計プロセス

    1. 式 (8) を使用してRMAX_ICHGを計算します。

    $$ R_{\text{MAX_ICHG}} = \frac{96\,\text{k}\Omega}{\text{MAX_ICHG}} = 35\,\text{k}\Omega $$

    2. R1= 20kΩを選択します。


    3. 式 (6) を使ってR2=33kΩ、R3=27kΩを計算します。


    4. CISET= 1µFに設定して、PWM信号をDC信号にフィルタします。

    設計結果

    このアプリケーションノートで提案されている方法の有効性を検証するために、上記で決定したパラメータを使用してデモボードを構築します。図4にデモボードの回路図を示します。

    図4: MP2759充電電流調整アプリケーションデモボードの回路図

    デモボードのテスト後に得られた結果 (テスト条件 : VIN= 16V、VBATT= 12V、VM_PWMPWM= 2kHz)では、充電電流とPWMデューティサイクルの間に直線関係があり、デューティサイクルは0%~82%の広い範囲を提供します (図5参照) 。

    図5: 充電電流 vs. PWMデューティサイクル

    充電電流が変化しても、MP2759はオーバーシュートやアンダーシュートを発生しません (図6参照)。さらに、デバイスは通常の起動とシャットダウンを示します (図7参照)。

    すべての試験結果は、このアプリケーションノートで紹介した設計方法の有効性を裏付ける証拠になります。

    図6: 0.5A~2.4A間での充電電流変化

    図7: MP2759 ON / OFFアプリケーションの波形 (デューティ=50%)

    結論

    充電電流を調整することで充電性能を最適化できます。アプリケーションノートでは、MP2759の充電電流をMCUでリアルタイムに調整する方法を提案しました。設計例と試験結果を示して、この電流充電方法の妥当性を証明しました。

    追加資料

    MPSバッテリーマネジメント製品の詳細については、こちらのページをご覧ください。

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