AN214 - MPSmartユーザーガイド

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インストラクション
このユーザーガイドは、ユーザーがMPSmartソフトウェアの強力な機能を理解し、活用できるようにすることを目的としています。MPSは、SIMPLIS Technologiesからのライセンスに基づいてMPSmartシミュレーションツールを配布します。このソフトウェアはSIMetrixシミュレータとSIMPLISシミュレータを統合し、MPS製品の包括的なシミュレーションおよび分析ツールをユーザーに提供します。
MPSmartの概要
MPSmartは、ユーザーが適切なMPS ICモデルを選択してダウンロードし、選択したICモデルをシミュレートし、設計のパフォーマンスを分析できる強力なソフトウェアツールです。MPSmartはユーザーフレンドリーなインタフェースを備えており、ユーザーはMPS推奨の回路図とモデルの大規模なライブラリを使用して高度な設計を簡単に開発できます。
MPSmartには、SIMetrixとSIMPLISという2つのシミュレータが含まれています。SIMetrixは、高速かつ正確なSPICEタイプのシミュレータです。SIMPLISは、スイッチング電源システムのシミュレーションでの課題を扱うために特別に設計された回路シミュレータです。ほとんどのMPS製品ICモデルはSIMPLISで作成されています。このアプリケーションノートでは、SIMPLISシミュレータ上に構築されたMPSmartモデルを主に紹介します。
SIMPLISは、POP (周期的動作点) シミュレーション、周波数ベースのACシミュレーション、および過渡シミュレーションの3種類のシミュレーションに対応します。すべてのシミュレーションは、12ページの「シミュレーションの実行」セクションで紹介します。
特徴と利点
MPSmartは、以下に示すいくつかの重要な機能と利点をユーザーに提供します。
- ユーザーは幅広いMPS ICモデルにアクセスできるため、さまざまなパワーエレクトロニクス用コントローラを設計および最適化できます。
- 便利なシミュレーションタイプのサポートを提供します。通常の時間領域ベースの過渡解析とは別に、MPSmartはスイッチング回路の小信号解析を提供するため、エラーが発生しやすい平均モードは必要ありません。
- 完全な回路図のキャプチャと編集機能をユーザーに提供します。
- 高度なアプリケーションとカスタマイズオプションを提供します。MPS Design AssistantスプレッドシートとMPS GUIは、MPSmartアプリケーションの幅を拡張します。詳細は、16ページの「高度なアプリケーション」セクションをご参照ください。
- 包括的なトラブルシューティングとサポートリソースが含まれています。
システム要件
MPSmartはMicrosoft Windowsプラットフォーム上で動作します。MPSmartは、Windows10 (64ビット) 以降に完全に対応しています。
MPSmartのパフォーマンスは、コンピュータのハードウェアと設計の複雑さによって影響を受ける場合がありますのでご注意ください。大規模または複雑なプロジェクトの場合は、より高性能のシステムを使用することをお勧めします。
はじめに
このセクションでは、MPSmartを初めてダウンロード、インストール、起動するプロセスについて説明し、ユーザーがユーザーインタフェースに慣れることができるようにします。
MPSmartのダウンロード、インストール、起動、およびアップグレード
MPSMartソフトウェアをコンピュータにダウンロードしてインストールします。MPSmartソフトウェアは、MPS Webサイト (https://www.monolithicpower.com/jp/mpsmart-v8.html) からダウンロードできます。
MPSmartをコンピュータにダウンロードしてインストールした後、デスクトップまたは [スタート] メニューのショートカットをダブルクリックしてMPSmartを起動します。図1はMPSmartのメインウィンドウを示しています。

図1 : MPSmartのメインウィンドウ
MPSmartは、更新された機能と最新のMPS製品モデルライブラリを使用して、少なくとも年に1回アップグレードされます。ユーザーはアップデートの確認またはソフトウェアの再インストールで、すべてサポートを受けることができます。
ユーザーインタフェースの概要
メインのユーザーインタフェースは2つの部分で構成されます (システムビューとワークスペースビュー)。MPSmartウィンドウの左側にあるシステムビューには、プログラムを操作するためのツールが用意されています。ワークスペースビューは、回路図エディタや波形ビューアなど、設計を開発およびレビューするための手段を提供します。
図2にユーザーインタフェースの概要を示します。

図2 : ユーザーインタフェースの概要
図3は、Part Selector、Command Shell、およびFile Viewを含むシステムビューのセクションを示しています。

図3 : システムビュー (Part Selector、Command Shell、およびFile View)
Part Selector : Part Selectorは、ほとんどの部品カテゴリをカバーします。ユーザーはPart Selectorセクションから部品を選択して回路図上に配置し、設計を開始できます。
Command Shell : Comand Shellは、アクションを実行するソフトウェアのステータスを表示したり、スクリプトを実行したりします。
File View : File Viewには、ファイルとフォルダの階層リストが表示されます。「Examples」は、MPSmartとともに自動的にインストールされるデフォルトのフォルダです。デフォルトのサンプルフォルダで、MPSの製品モデルが含まれている「MPS」というタイトルのフォルダをクリックします。
[File View] で、[Add Directory] ボタンをクリックして、頻繁にアクセスするフォルダを選択し、File Viewに追加します。ユーザーは、[File View] パネルでフォルダやファイルを開いたり、名前変更、削除、管理したりすることもできます。
図4は、回路図エディタや波形ビューアなど、設計を開発およびレビューするための手段を提供するワークスペースビューを示しています。

図4 : Schematic Editor と Waveform Viewer
Schematic Editor : ユーザーはSchematic Editorで回路設計を作成および変更できます。このエディタを使用すると、ユーザーは部品を配置し、ワイヤを接続し、部品の値を調整できます。また、Schematic Editor内の部品を右クリックして、部品の無効化、プロパティの編集と追加、シンボルの編集と更新などの追加のオプションやコマンドにアクセスすることもできます。
Waveform Viewer : Waveform Viewerは、シミュレーション中に生成された波形を表示および分析するための専用領域です。ユーザーは Waveform Viewerを使用して、設計のパフォーマンスを確認し、さまざまなシミュレーション実行を比較し、重要なパラメータ (電圧、周波数、デューティサイクルなど) を測定できます。
これらのユーザーインタフェースにより、MPSmartを簡単に操作し、その主要な機能にアクセスできるようになります。このマニュアルの次のセクションでは、MPSmartのさまざまなツールと機能の使用方法について詳しく説明します。
MPS ICモデルの選択とダウンロード
このセクションでは、設計で使用するMPS ICモデルを選択してダウンロードするプロセスについて説明します。MPSmartサンプルフォルダにアクセスする方法、製品ページを参照する方法、MPS ICモデルをダウンロードする方法、およびMPSサポートチームから支援を受ける方法について説明します。
MPSmartサンプルフォルダへのアクセス
4ページの「ユーザーインタフェースの概要」セクションで説明したように、ユーザーは、MPSmartとともに自動的にインストールされる MPSmartサンプルフォルダを通じてMPS ICモデルにアクセスできます。MPSmartのICモデルにアクセスするには、以下の手順に従ってください。
- MPSmartを起動し、[File View] (ウィンドウの左側にある) を開きます。
- 「MPS」というタイトルのフォルダには、さまざまなMPS製品のプリインストールされたICモデル、代表的な回路図、およびサンプルプロジェクトが含まれています (図5参照)。ファイルの内容を展開して参照し、目的のMPS ICモデルのサンプルプロジェクトを見つけます。
- 目的のICモデル回路図をダブルクリックして、回路図エディタで開きます。

図5 : MPSmart サンプルフォルダ
MPS Webサイトの閲覧
アプリケーションに適切なMPS製品を見つけて、正しいICモデルをダウンロードするには、MPS Webサイト (https://www.monolithicpower.com/jp/) にアクセスしてください。検索バーを使用して目的のMPS ICの部品型番を入力するか、メインメニューの製品タブに移動して製品カテゴリを表示し、対応する製品ページにアクセスします。
8ページの図6は、MPS WebサイトでMPSmartモデルを検索する方法の例を示しています。たとえば、MPM3595-25のMPSmartモデルを検索するには、検索バーに部品型番「MPM3695-25」を入力し、部品型番をクリックしてMPM3595-25の製品詳細ページに移動します。詳細ページに移動したら、「Design Resources 」セクションまで下にスクロールします。「MPSmart Model」をクリックして MPSmartモデルをダウンロードします。
これにより、部品のモデルファイルと関連ドキュメントを含むzipファイルがダウンロードされます。

図6 : MPS WebサイトでMPSmartモデルを見つける
MPSサポートチームからの支援を受ける
最新のICモデルを入手するもう1つの方法は、MPS FAEに連絡することです。ユーザーに必要なファイルを提供し、ユーザーが設計を開始できるように支援します。
オンライン テクニカルフォーラムも優れた連絡窓口です (33ページの「テクニカルサポートへの連絡」セクション参照)。
さらにサポートが必要な場合は、シミュレーションチーム (mps-simulation@monotlithicpower.com) に電子メールをお送りください。
イントラネットユーザーは、ほとんどの設計リソースをイントラネット上で見つけることができます。
基本操作
このセクションでは、MPS製品の一般的なアプリケーション回路図の操作や、MPS ICモデルを使用して新しいプロジェクトを作成する方法など、MPSmartソフトウェアの基本操作について説明します。
MPS製品の代表的な回路図を見る
MPSシミュレーション チームは、ユーザーが設計を開始できるように、各MPS ICモデルのさまざまな代表的なアプリケーション回路図を提供します。4ページの「ユーザーインタフェースの概要」セクションおよび7ページの「MPS ICモデルの選択とダウンロード」で説明されているように、ユーザーはプレインストールされたMPSmartの「Examples」フォルダでMPS IC モデルを見つけたり、MPSのWebサイトからモデルをダウンロードしたりできます。MPSテクニカルサポートにモデルの提供をご依頼ください。
回路図エディタでの回路の一般的なアプリケーション回路図は6つのセクションで構成されます (図7参照)。.

図7 : MPS ICモデルの代表的な回路図
- Description : このセクションでは、製品仕様、アプリケーション幅、制御戦略、パッケージ情報などの基本情報を含む、ICの概要を説明します。「More」をクリックすると、MPS Webサイトの製品詳細ページが開き、ユーザーは部品に関する包括的な情報を見つけることができます (10ページの図8参照)。
- Design Support : このボタンをクリックすると、MPS WebサイトのDesign Toolページが開きます。ユーザーは、MPSが提供するさまざまな設計ツールを探索および使用して、設計プロセスを簡単にすることができます (10ページの図9参照)。
- Contact Us : [Contact Us] ボタンをクリックすると、技術サポートやサポートに関する地域の連絡先情報ページが開きます。
- Model notes : このセクションでは、内蔵パフォーマンス機能や付属ドキュメントの使用方法など、ICモデルに関する役立つ情報を提供します。
- Model information : このブロックには、バージョン、作成日、作成者など、ICモデルに関する基本情報が表示されます。
- Typical application schematic : このセクションでは、アプリケーションのパフォーマンスを評価するための直接シミュレーションに使用できる完全に検証された回路設計を提供します。代表なアプリケーションの回路図を適応および変更することで、ユーザーは設計プロセスを開始し、実証済みのアプリケーションプラットフォームを使用してプロジェクトをテストできます。

図8 : 「詳細」をクリックしてICの詳細ページを開く

図9 : デザインツールページ
MPS ICモデルを使用した新しいプロジェクトの作成
MPS ICモデルを使用して新しいプロジェクトを開始する簡単な方法は、9ページの「MPS製品の一般的な回路図のナビゲート」セクションで説明されているように、代表的なアプリケーション回路図に基づいて設計を実装することです。回路図を調整および変更すると、設計プロセスを加速できます。
もう1つのオプションは、メインメニューで [File] をクリックし、[New/SIMPLIS Schematic] または [New/SIMetrix Schematic] を選択して新しい設計を作成することです。これは回路図をフォルダに保存します。ほとんどのMPS ICモデルは SIMPLISモデルですが、いくつかは SIMetrixモデルです。
モデルライブラリからMPS ICモデルを選択して、回路図の設計を開始します。[Place From Model Library] をクリックして、抵抗、コンデンサ、ソース、半導体デバイスなどの部品を追加します (図10参照)。

図10 : モデルライブラリ
設計の必要に応じて、回路図内の部品を配置して接続します。これで、MPS ICモデルを含む新しいプロジェクトでシミュレーション解析を行う準備が整いました。
MPSmartモデルライブラリからMPS ICモデルを入手することに加えて、ユーザーはMPSのWebサイトまたはフィールドサポートからさらに多くのモデルを見つけることができます (詳細は、7ページの「MPS ICモデルの選択とダウンロード」セクションを参照)。
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