MPQ3910A リファレンスデザイン - LiDARアプリケーションのAPD用高電圧昇圧

 役立つ情報を毎月お届けします

購読する

プライバシーを尊重します

1. 概要

1.1 説明

自動運転車は、かねてから話題になっていましたが、いよいよ現実味を帯びてきました。高度な自律性を実現するために、車両はカメラ、RADAR 、LiDARなどの周囲検出方法を組み合わせて使用しています。

LiDARは、RADAR と同様に機能する測距デバイスです。ただし、RF波の代わりに光波を使用します。レーザーダイオードが光パルスを放出し、高度なフォトダイオード (APD) が反射を感知して、飛行時間、つまり反射する物体までの距離を決定します。

LiDARシステムを使用する際に発生する設計上の課題は、サイズにより最大300Vを必要とするAPDセンサのようなフォトダイオードにバイアスをかけるため、高電圧電源を提供することです。電源は費用対効果が高く、かつ自動車業界のEMC規制に合格する必要があります。

このリファレンスデザインは、MPQ3910Aを使用して、DCMで動作する昇圧コンバータを制御します。これにより、安価な小型部品の使用が可能になり、非常に高いデューティサイクルによる制限を克服できます。昇圧された電圧は、チャージ ポンプを介して効果的に2倍になり、高電圧対応品よりも小型で安価な低電圧定格の半導体を使用しながら、より優れた性能を備えているために、350Vを超える出力能力を実現します。

1.2 特徴

  • AEC-Q100認定
  • CISPR25 Class5準拠
  • 5V~35Vの広い動作入力範囲
  • 12V 1A対応のシングルNチャネルMOSFETゲートドライバ
  • プログラム可能な周波数範囲 : 30kHz~400kHz
  • 外部同期クロック範囲 : 80kHz~400kHz
  • プログラム可能なソフトスタート時間 (SS)
  • 過電流保護 (OCP)
  • 過電圧保護 (OVP)
  • 短絡保護回路 (SCP)
  • 外部電源オプション付きの内部 LDO
  • 軽負荷時のパルススキップ動作
  • MSOP-10パッケージで提供


figure 1 eval board

1 : 評価ボード

1.3 アプリケーション

車載用 LiDAR APD電源

2 リファレンスデザイン

2.1 簡略回路図

12V 公称入力、300V 15mA出力能力、EMIフィルタおよび極性保護を備えた昇圧コンバータ。

block diagram

図2 : ブロック図

2.2 関連ソリューション

このリファレンスデザインは、次のMPS ソリューションに基づいています。

MPS集積回路 説明
MPQ3910A 5V~35V入力、ピーク電流モード、非同期昇圧コントローラ AEC-Q100認定


2.3 システム仕様

パラメータ 仕様
入力電圧範囲 3VDC〜35VDC
出力電圧 300VDC
最大出力電流 15mA
スイッチング周波数 375kHz
基板フォームファクタ 89mm x 63mm x 5mm
ピーク効率 83%
300V 出力リップル 200mVp-p

3 設計

3.1 回路図

3

図3 : 回路図

3.2 部品表

指示子 数量 パッケージ メーカー 部品番号
C1、C3、C16 3 0.1µF 250V 0805 TDK CGA4J3X7T2E104K125AE
C2、C4 2 0.47µF 250V 1812 Murata GCJ43DR72E474KXJ1L
C5 1 15nF 50V 0603 Murata GCM188R72A153KA37D
C6、C8、C9 3 4.7µF 50V 0805 TDK CGA4J3X5R1H475M125AB
C7 1 47µF 50V 6x6 Panasonic EEE-FT1H470AP
C10 1 0.47µF 450V 1812 TDK C4532X7T2W474M230KE
C11 1 1µF 50V 0805 Murata GCM21BR71H105KA03L
C12 1 4.7µF 25V 0805 TDK CGA4J1X7R1E475K125AC
C13 1 0.47µF 16V 0603 Murata GCM188R71C474KA55D
C15 1 6.8nF 16V 0603 Murata GCM188R72A682KA37D
D1、D2、D3 3 BAS21 SOD-323 Rohm BAS21VMFHTE-17
D4 1 NRVTS245ESFT3G SOD-123 ON Semiconductor NRVTS245ESFT3G
D5 1 SMBJ30CA-E3/52 SMB Comchip ATV06B240JB-HF
D6 1 PMEG6010CEJ SOD-323 Nexperia PMEG6010CEJ,115
L1 1 12µH 1.75A 6235 Coilcraft LPS6235-123MRB
L2 1 4.7µH 0.6A 0805 Murata LQM21PZ4R7NGRD
L3、L4 2 1µH 1.3A 0805 Murata LQM21PZ1R0NGRD
Q1 1 SQJ454EP SO-8FL Vishay SQJ454EP-T1_GE3
R1、R3、R13 3 0Ω 5% 0603 Vishay Dale CRCW06030000Z0EB
R2、R7、R8、R9、R10 5 100kΩ 1% 0603 Vishay CRCW0603100KFKEA
R4 1 6.2kΩ 1% 0603 Panasonic ERJ-3EKF6201V
R5 1 50mΩ 1% 1206 Panasonic ERJ-8CWFR050V
R6 1 7.5kΩ 5% 0603 Vishay CRCW06037K50FKEA
R11 1 82kΩ 1% 0603 Vishay CRCW060382K0FKEA
R12 1 2kΩ 1% 0603 Vishay CRCW06032K00FKEA
U1 1 MPQ3910 MSOP-10 MPS MPQ3910GK-AEC1

3.3 PCBレイアウト

4

図4 : PCB レイヤー 1

5

図4 : PCB レイヤー 2

6

図4 : PCB レイヤー 3

7

図4 : PCB レイヤー 4

試験結果

4.1 効率と調整

8

図8:効率 vs. 負荷電流

9

図9 : ラインレギュレーション値

9

図10 : ロードレギュレーション

4.2 時間領域の波形

VIN = 12V、VOUT = 300V、L = 12µH, FSW = 375kHz、TA = 25ºC

11-12

図11:定常状態 - 図12 : 定常状態

13-14

図13 : 入力電圧を通じてのスタートアップ - 図14 : 入力電圧を通じてのスタートアップ

15-16

図15 : 入力電圧VINを通じてのシャットダウン - 図16 : 入力電圧VINを通じてのシャットダウン

17-18

図17 : ENを通じてのスタートアップ - 図18 : ENを通じてのスタートアップ

19-20

図19 : ENを通じてのシャットダウン - 図20 : ENを通じてのシャットダウン

21-22

図21 : 単一負荷ステップ - 図22 : 単一負荷ステップ

23-24

図23 : 反復負荷ステップ 5kHz - 図24 : 反復負荷ステップ 10kHz

25-26

図25 : 反復負荷ステップ 20kHz - 図26 : 反復負荷ステップ 50kHz

4.3 熱測定

VIN = 12V、VOUT = 300V、L = 12µH、FSW = 375kHz、TA = 25ºC、運転時間 2時間

27

図27 : 熱画像

4.4 EMC測定

この回路はスイッチノードに非常に鋭い方形波を持ち、最大150Vの電圧スイングによる高いdV/dtを伴います。高いdV/dは強い電場を発生し、他の回路やシステムに存在するケーブルの束にノイズを引き起こしかねません。これを緩和するために、APD電源は、車の中で電場に対するシールドとして働く金属の箱の内部、または金属板の近くに収めるべきです。

それが可能でない場合の代替え案は、PCBのノイズ源の領域に小さな金属製のシールドを置くことです。それはコイル、MOSFET、整流器と出力キャパシタをカバーする必要があります。本稿で独立デバイスとして、このPCBをテストするために採用している方法です。下の写真では実際に用いたシールドを示しています。

Figure 28: PCB with a local shield made of copper.

図28 : 銅製のローカルシールドがあるPCB

Figure 29: Area covered by the shield

図29 : シールドでカバーされる部分

次のグラフはこの基板でのCISPR25の伝導エミッションと、ALSEの放射エミッションの試験結果を示しています。

VIN = 12V、VOUT = 300V、IOUT = 10mA L = 12µH、FSW = 375kHz、TA = 25ºC、シールドあり

30

図30 : CISPR25 Class5の伝導エミッション

31

図31 : CISPR25 Class5の放射エミッション

5 スタートアップ

    1. 負荷の正、負の端子をそれぞれVOUTとGNDピンに接続します。負荷が300Vまたはそれ以上の電圧に適しているかを確認してください。電子的な負荷はレギュレータへの負のインピーダンスを表しており、セットされた電流が高すぎると過電流保護またはショート電流保護が起こります。
    2. 供給電力出力を3V~30Vの間に初期設定し、電力供給を遮断します。
    3. 供給電力の出力の正、負の端子をそれぞれVINとGNDピンに接続します。入力電圧が13Vより高い場合には必ずR13を取り除いて下さい。
    4. 入力電圧が5Vより低い場合には、R1を外し13V以内の予備電力供給をVBIASに接続します。
    5. 電力供給をオンにします。基板は自動的に立ち上がります。出力電圧VOUTの規定値は300Vです。 
    6. 外付け抵抗分割器R7~R11とR12は出力電圧を設定するのに使われます。VOUT = 300 Vとするには、R7~R11の合計は482kΩそしてR12は2kΩでなければなりません。
    7. $$R_{12}= {R_{11}\over{\frac {V_{out}}{1.237} -1}}$$
    8. 出力の電流容量を増加するには、基板上で高電力仕様の部品に変更します。外付け個別半導体でTJが175ºCを超えないことを確実にしてください。 

リファレンスデザインをダウンロード