MPQ3426 - 事前昇圧のリファレンスデザイン、コールドクランク過渡の簡単なソリューション

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1 概要

1.1 説明

スタートストップ機能は、どのメーカーの新しい車モデルにも期待される機能です。ただし、寒い時期にモータを始動すると、バッテリの電圧降下が3Vまで低下する可能性があるため、これは自動車用電子機器の設計に課題をもたらします。これは「コールドクランク」と呼ばれます。

ほとんどの12V自動車システムの電力段は、通常、出力電圧を5Vまたは3.3Vに調整するシングル降圧コンバータで構成されています。レギュレータが低ドロップアウトモードで動作を開始した場合でも、ほとんどの回路は入力電圧の低下の影響を受け、機能を停止する可能性があります。電子制御ユニット (ECU) は、常に公称バッテリ電圧12Vから始動し、始動後にコールドクランク過渡が発生する可能性があります。事前昇圧を使用すると、この問題のソリューションが提供されます。

事前昇圧は、降圧コンバータの前に直列に接続された昇圧コンバータで構成され、特定のしきい値を下回ると電圧が上昇します。これにより、12Vハーネスの過渡に関係なく、降圧コンバータの入力電圧を安定させ、出力を一定レベルに正しく調整することができます。昇圧のバイアス電圧はメインの降圧コンバータによって提供されるため、システムの動作入力電圧が2V以下に拡張されます。

このリファレンスデザインは、エンジニアが最大18Wの電源の事前昇圧を設計するのに役立ちます。

1.2 機能

  • 広い動作入力範囲
  • 3.5Aの連続出力電流
  • 350kHz〜2.5MHzのプログラム可能なスイッチング周波数
  • 低ドロップアウトモード
  • バレー電流検出を備えた過電流保護 (OCP)
  • ウェッタブルフランクで提供
  • 最大92%の高効率
  • 逆極性保護
  • 2次EMIフィルタ
  • AEC-Q100 グレード1で提供
  • CISPR25 Class5 EMC規格に適合
MPS Pre-Boost Reference Design Board

図1 : MPS事前昇圧リファレンスデザインボード

1.3 アプリケーション

  • 車載インフォテインメント
  • 自動車の安全性とADAS

2 リファレンスデザイン

2.1 ブロック図

図2 : ブロック図

L1とC1は、事前昇圧コンバータの一部であることに加えて、伝導EMIの入力フィルタとして機能します。D1は、降圧コンバータICを逆極性から保護します。D2は、他の逆極性保護が実装されていない場合に昇圧ICを保護するためのオプションです。

2.2 関連ソリューション

このリファレンスデザインは、次のMPSソリューションに基づいています。

MPS集積回路 説明
MPQ3426 6Aのスイッチ電流容量と3.2Vのバイアス電圧を備えた非同期昇圧コンバータ
MPQ4430 3.5Aを供給できる36V同期整流降圧コンバータ

表1:システム仕様


2.3 システム仕様

パラメータ 仕様
動作入力電圧 2V DC〜36V DC
起動入力電圧 5V DC〜36V DC
出力電圧 5VDC
最大出力電流 3.5A (5V出力)
スイッチング周波数 400kHz
基板のフォームファクタ 90mmx90mmx10mm
効率 85%以上
12V出力リップル 15mV

表2 : システム仕様


コールドクランク時の最低バッテリ電圧 5V出力電圧での最大出力電流
1.5V 0.9A
2.0V 1.2A
2.5V 1.6A
3.0V 2.1A
3.5V 2.8A
4.0V 3.3A
4.2V 3.5A

表3 : バッテリ電圧過渡 対 出力電流


3 試験結果

3.1 効率

特に記載がない限り、VBATT = 12V, VSYS = 5V, LBOOST = 2.2µH, LBUCK = 4.7µH, TA = 25°C

入力フィルタ、保護ダイオード、および事前昇圧付き
9

図9 : 効率 対 負荷電流 - AAMモード

10

図10 : 効率 対 負荷電流 - CCMモード

ISYS = 2A AAM モード

11

図11 : コールドクランク過渡電圧 (100ms/目盛)

3.2 EMC測定

VBATT = 12V, VSYS = 3.3V, LBUCK = 4.7μH, COUT= 44μF, fSW = 400kHz, TA = 25°C

150kHz〜108MHz

図 2115:CISPR25 Class5の伝導エミッション

150kHz〜30MHz

図 2216:CISPR25 Class5の放射エミッション